◆◇◆スキーメーカーワールドカップ◆◇◆

どのスキーメーカーが1番ワールドカップポイントを稼いでいるか



UP!! 2006.12.28 ロシニョール組のスキー変更

2006.05.22
ロシニョール、ジャンプ部門から撤退

アルペンスキーにはスキーメーカーワールドカップというのがあって、もう20回を数える。どのメーカー(の選手)が一番ポイントを取っているかで勝者が決まる。FISではなくAUTのPresseという新聞社が行っている。04/05の優勝はアトミックで、総合、男子総合、男子の各種目、靴、ビンディングでトップだった。アルペンはWCの成績が販売促進に結びつくと言われる。メーカーは競技人口の少ないジャンプ板には利益を見込んでいないという。アホネンの活躍がアトミックの購入者を増やしているかはわからないけれど、ジャンバーの間でどのメーカーが一番使われているかは知りたいところ。

船木選手が05/06、スキーをアトミックに替えるという。「五輪まで1年を切った段階で競技に影響を与える用具を替えるのは異例」とある。何でも「昨季は使用していたスキーが希望していた仕様になっていなかったことが不振の一因にもなっていた」そうで。船木は、フィッシャー→ロシニョール→エラン→フィッシャーと長野のシーズンから3つのメーカーを使っている。いつどれを使っていたかは記録していないのだが(ビデオを見直せばわかる...)。とにかく最近は一番よかったときのフィッシャーに戻っていた。
エランからロシニョールに替えてブレイクし、ロッシの看板ジャンパーだったシュミットも、04/05シーズンフィッシャーに替えている。成績が出ている選手ほど、より早くいいマテリアルを手に入れられる。全盛期のシュミットはその典型だった。

メーカーの差は技術差というより対応の差なのかもしれない。ロシニョールはサービスマンを大会に派遣し、国の枠を越えてロシニョールジャンパーの板のチューンナップをしている。日本にも来ていた。

長い間アトミックで飛んでいるアホネンの口からスキーに対する不満を聞いたことはない、もともと道具や台、条件に文句を言わない選手だけど。アトミックの本拠地はAUTにあるのだけど所有者はFINというのが彼がアトミックを使い続ける理由の1つかどうか。弘法、筆を選ばず、板なんてなんだって同じ、これと決めたら代えない、そんな方針か。

04/05シーズン誰がどの板で飛んでいたのかまとめてみようと思う。ジャンプの傾向によって分かれるのか、国によってちがうのか、少しはわかるかもしれない。


◆◆スペシャルジャンプ◆◆
04/05ワールドランキングリスト上位50人中(GP+WC) 名前横の数字は順位
Fischer フィッシャー
18人
110,118点
JPN 4人:葛西10、伊東11、宮平27、船木31
NOR 3人:リューケルソイ3、ビストール13、ロメレン15
AUT 3人:モーゲンシュテルン6、コフラー38、ゴルトベルガー41
GER 3人:ヘル24、リッツァーフェルト37、シュミット43
POL 1人:マリシュ2
CZE 1人:ヤンダ7
RUS 1人:ヴァシリエフ35
FIN 1人:キウル40
POL 1人:マテヤ44
Rossignol ロシニョール
17人
6,653点
AUT 3人:ヘルヴァルト4、ロイツル19、リーグル30、シュヴァルツェンベルガー32、カイザー47
GER 3人:ウアマン9、シュペート12、メヒラー50
NOR 3人:フォーファング17、インゲブリットセン23、ソレム39
FIN 2人:ユッシライネン16、J.ハウタマキ49
SUI 2人:キュッテル14、メーリンガー29
JPN 1人:東34
SLO 1人:ジョンタ42
Atomic アトミック
6人
15,265点
FIN 2人:アホネン1、M.ハウタマキ5
AUT 1人:ヴィドヘルツル8
GER 1人:ノイマイヤー20
NOR 1人:ステンスルー25
SLO 1人:ボガタイ45
Elan エラン
6人
11,957点
SLO 4人:ダミヤン18、ベンコヴィッチ21、クランイェッツ28、ペテルカ36
NOR 1人:ペッテルセン22
SUI 1人:アマン26
Germina ゲルミナ
2人
111249点
GER2人: ホッケ33、バーダー48
Sporten スポルテン
1人
111179点
CZE 1人:マトゥラ46

◆10位以内に限ると
Fischer
5人 6,682点
Atomic 3人 4,454点
Rossignol 2人 2,394点

◆勝ち数 サマーグランプリ7戦/ワールドカップ28戦中(うち1戦は優勝者2人)
Atomic
19勝 アホネン12勝 M.ハウタマキ6勝 ヴィドヘルツル1勝
Fischer 13勝 マリシュ8勝 リューケルソイ2勝 ヤンダ、ロモレン、船木各1勝
Rossignol 14勝 ヘルヴァルト3勝 フォーファング2勝

◆最近のスキーチェンジ 少し前に書いたコラムもご覧ください
船木:フィッシャー→ロシニョール→エラン→フィッシャー→アトミック
マリシュ:エラン→フィッシャー
M.シュミット:エラン→ロシニョール→フィッシャー→アトミック
ヴィドヘルツル:アトミック→*ブリザード→アトミック
ウアマン:フィッシャー→ロシニョール
ハナヴァルト:エラン→フィッシャー→ロシニョール
*ヴィドヘルツルがアトミックに戻したのはブリザードがジャンプ板を作るのをやめたから。

◆◆ノルディックコンバインド◆◆
04/05ワールドランキングリスト上位50人中 名前横の数字は順位
Fischer フィッシャー
24人
151,135点
GER 5人:キルヒアイゼン6、メンツ31、ヘーリッヒ37、メーリンガー47、フライ48
AUT 4人:ゴットヴァルト3、M.グルーバー20、クライナー25、B.グルーバー38、ツァウナー46
NOR 3人:タンデ7、ハマー15、ブローテン40
CZE 2人:リーグル11、フラヴィ49
FRA 2人:バル21、マルチネス29
JPN 2人:北村26、畠山45
SUI2人:シュミット36、フーシュラー42
USA 1人:スピレーン14
FIN 1人:コイヴランタ22
RUS1人:マスレニコフ24
Rossignol ロシニョール
10人
34,977点
GER 3人:アッカーマン2、シュミット28、シリンガー41
NOR 3人:モアン5、グロースリ16、クレメトセン19
USA 2人:ロドウィック4、デモン17
FIN 1人:カイタイネン27
FRA 1人:シャプイ50
Germina ゲルミナ
6人
125,078点
GER 4人:ヘティッヒ12、エーデルマン18、ハーゼナイ23、ミュンヒマイヤー30
FIN 2人:マンニネン1、クイスマ32
Atomic アトミック
7人
119,765点
AUT 2人:ビーラー9、シュテヒャー10
JPN 1人:高橋8
FIN 1人:タッルス13
SUI 1人:リーダー35
ITA 1人:シュトローブル43
FRA1人:ラクロワ44
Elan エラン
3人
113,617点
NOR 1人:グラーベ33
GER 1人:ガイザー34
FRA 1人:アルヌール39

◆10位以内に限ると
Rossignol
3人 23,150点
Fischer 3人 17,530点
Germina 1人 14,660点
Atomic 3人 13,363点

◆勝ち数 WC-Aに限る
Germina
10勝 マンニネン10勝
Rossignol 15勝 アッカーマン4勝 モアン1勝
Fischer 12勝 ゴットヴァルト1勝 キルヒアイゼン1勝

複合ではジャンプもクロカンも同じメーカーの板を使う選手が多い中、マンニネン、モアン、ハーゼナイはクロカンはMadhusを使っている。Madhusはジャンプ板を作っていない。3人ともクロカンを優先しての選択だろうか。ジャンプ板はマンニネン、ハーゼナイがGermina、モアンはRossi。マンニネンはシーズン途中、9戦目のルーポルディングからElanからGerminaに替えている。Germinaはドイツのメーカーだからハーゼナイの選択はわかるが、マンニネンにはその理由を聞きそびれた。ジャンプが得意な選手が揃ってAtomicなのは偶然か?
2006年5月22日(月)
2006年5月22日 ロシニョールがジャンプ部門から撤退するという話。 
このニュースは05/06シーズン当初からあった。ロシが今季で撤退すると。辞めるのはジャンプスキーだけで、今後はクロカンとアルペンに絞るというから、では、複合の選手はどうするのかなぁ、と思っていたら、アッカーマンのHPのある新聞記事に「ロシニョールと契約が切れるので新しいスキーを探している」とあった。「それはもう板を作らなくなるからだ」と。昨季、板にはまったく満足していなかったので、幸か不幸か、メーカーを替えるという。ジャンプスキーもクロカンも両方替えるのかは不明だが。

ロシニョール社は'05年、米のスポーツメーカー、クイックシルバー社と合併。2500万ユーロにのぼる赤字のためジャンプ部門を閉めるという。もともと競技人口が少ないスキージャンプは、ベニー・ライヒ(AUTの二冠金メダリスト)が勝てば5万人がスキーを買うというアルペンと比べたら、いくらがんばってもジャンプ板自体の売り上げはそうは変わらない。しかし'02年ハナヴァルトのジャンプ週間完全制覇、'05年世界選手権でアッカーマンの二冠など、宣伝効果は充分ではないかと思われるのだが。ロシニョールは世界シェアではトップ(アメリカではK2)というのを聞いたことがある。日本のスキー人口の低下もロシニョールには打撃だろう、いや、大げさではなくて。ジャンプに興味がないアメリカのメーカーが、その売り上げ低下をスキージャンプを辞めることで埋め合わせしようとしているのかもしれない。総合3位だったキュッテル(SUI)、ロイツル(AUT)はすでにフィッシャーに替えることを発表している。

NEW2006年12月28日 ロシニョールを使っていた選手はその後、どこのメーカーに代えたか?
05/06シーズンを最後にロシニョールはジャンプスキーから撤退。
それまでロシを使っていた主な選手たちがどのメーカーに代えたかを記した。
アッカーマンはノーマルヒルではエラン、ラージヒルではアトミックと使い分けている。
Fischer SJ ヘルヴァルト(AUT) ロイツル(AUT) ウアマン(GER) シュペート(GER) キュッテル(SUI)
J.ハウタマキ(FIN) ソレム(NOR) 東輝(JPN)
NC ラミィシャプイ(FRA) クレメトセン(NOR)
Atomic SJ インゲブリクトセン(NOR) ユッシライネン(FIN) メヒラー(GER)
NC アッカーマン(GER) シリンガー(GER) カイタイネン(FIN) モアン(NOR) デモン(USA)
Elan NC アッカーマン(GER)
Germina NC グロースリ(NOR)