FIS WORLD CUP 2004
Part2
痩せました。髪、伸ばしてます。さすが、写真を撮られ慣れてて、ポーズも決まってるマルティン・シュミット。久々の日本。久々の入賞。
1月24日 土曜日 当初、複合班は純ジャンプの試合後、6:30からジャンプ練習の予定だったのが、純ジャンプの日程が変わり、練習は午前中になる。9:00に大倉山へ出発。ワックスマンは白旗山へ。
1本目:アッカーマン122.5m、グルーバー122.0m、ビーラー、大斗、タンデ、ゴットヴァルトが118.5m。
2本目:グルーバー133.5m、シュテヒャー126.5m、大斗125.0m。アッカーマンは121.0m。
3本目:タンデ、タッルス129.5m、ラユネン129.0m、アッカーマン125.0m。

午後、クロカン練習。白旗山競技場目前の坂道でタクシーが上れずズルズルと滑ってくる。道はツルツルで滑り止めの砂利も何もまかれていないのでいないのでタクシーには辛いかも。バスは少し待つ。それを待ちきれずにフェリックスはバスを降りていく。マリオはトイレ。最終的にはバスの方が早かったのだけど。
夕方NORは待望のバレーボールをする。

ジャンプ班/札幌1:朝、東京から移動。1本トレーニング。予選はなく、全員本戦へ。原田がテストジャンパーを務める。風もほとんどなく、小雪がちらつく程度。135.5m飛んだアホネンリードで折り返す。2本目、リュケルソイが133.5mで優勝。アホネンはどんどん渋くなっていく(外見)...。リュケルソイは去年も思ったけどとてもいい笑顔で勝たせてあげてよかった、と思う。あたしが勝たせてるわけじゃないけどね...。それにしてもなんでヤンネは勝てなかったの?

マルティン・シュミット、今季最高の6位。賞金を取りに来た彼と少しだけ話した。「久しぶり」「ア〜ッ!!」と気づく。「オメデトウ!」「ありがとう」「これからよくなるんじゃない?」「だといいね」Results
1月25日 日曜日 快晴。7時、複合班は眠い目をこすってクロカンコースへ出発。マリオに「眠いべ?」と言われる。確かに低血圧です。いやぁ、一番大変なのはキミたちなのに...ゴメンナサイ...。

今日の試合はマススタートなので先に走る。前走に荻原健司さんという豪華さ。彼が走ること、もっと宣伝すればいいのになぁ...。もったいない。スタートはワールドランキング順に4列に並ぶ。水泳のスタートのようにセンターに上位選手が来る。最初の50mはスケーティングが禁止されているので尺取り虫状態。圧巻です。複合人気回復の鍵は日本選手の活躍と言われる。確かに荻原時代は競技場に女の子が鈴なりですごかったのでしょう。でも、自国の選手じゃなくても、超一流の選手たちが走るのを見ないなんて、ホント、もったいない!! すっごくカッコいいし(「これじゃあ日本人、勝てないわ」と呟くおじさんあり)、そのくらい体型は違うけれど、その中で奮闘する大斗くんてスゴい。

その大斗くん、スタートして最初のカーブで2、3人の選手と交錯して転倒する。ジャンプが得意のタッルス(FIN)もその1人で、スキーが折れて早々に戻ってくる。
のちのTCMで、スタート直後、団子状態で下りカーブに突入するというのはマススタートのコースとしては不向きなのでは、という意見が出る。去年はどうだったかな...?

アッカーマンは坂でつまずいていたロドウィックにぶつかり、先頭グループから離脱。その後も追いつくためにグループを引っ張ったけどみんな非協力的だったとか。
「スキーも、足も折れずにゴールまで持ってよかった。悔しいけどチャンスがなかった」
1位ゴールはマンニネン。2秒遅れ0.5点差でハーゼナイ、3位はリーグル(CZE)、10秒、2.5点差。4位ゴットヴァルト、5位キルヒアイゼン、6位ラユネン。

3位に入ったチェコのリーグルを連れてやって来たコーチは彼のお父さん。リーグルはもう3回も膝の手術をしていてジャンプが本調子に戻らないのだそうだ。それでもチェコではトップ...。日本もこれが最後かもねぇ..となんとなく引退もにおわせていた...。

アッカーマンは9位ゴール、トップ、マンニネンと1:09.0秒差、ポイントにして17.3点差。ジャンプで14.5mリードすれば優勝できる。例えばアッカーが130飛んでハンヌが110...これまでならそんなこともあったが...。

ホテルへ戻って昼食。12:45には大倉山へ。マススタートでは2本ジャンプを飛ぶが、飛型点は採点されず、距離点( K点120m=60点±1.2点/m)に、転倒なら10.8点マイナス、ノーテレマークが4.8点マイナス。これがクロスのポイント(トップが120点。1分15点で時間差をポイント換算する)に加算される。
1本目に一番飛んだのはラユネンとグルーバーの125.5m。ビーラー125.0m、マンニネン122.5m、ロドウィック122.0mと続く。クロスのアドバンテージが効いて、1本目が終わってマンニネンが0.2点差でトップ。2位ラユネン、3位ゴットヴァルト。日本選手では13位でクロスをフィニッシュした北村選手が19位。高橋大斗22位。畠山、富井両選手は上位30位の決勝に進めなかった。

2本目、大斗129m、ビーラー124.5m、ラユネン、マンニネン121.5mでマンニネンが逃げ切った。2位ラユネン(クロス6位)。3位はクロス18位だったビーラー。大斗は15位。クロスの転倒で右すねに傷を負ったアッカーマンは元気のないジャンプで9位に終わった。

ジャンプ得意、クロス今イチのビーラーがクロスの18位から3位に上がった。ホームゲームのマススタート、誰もが考えるように、大斗に表彰台の大チャンスだったのだが...。Results

3位:クリストフ・ビーラー
名寄でもすばらしく飛べていて、ジャンプはほぼパーフェクト。きょうもよかった。クロスの結果にも満足。18位でも上位とそれほど時間差がなかったので6〜10位になれるチャンスは大いにあると見ていた。ジャンプ台の整備は完璧で条件も公平でいい試合ができたと思う。これまで4位は7回あるが表彰台は初めてでとてもうれしい。

2位:サンパ・ラユネン
クロスではハンヌについていこうと思った。クロスが終わり、自分の前にかなりジャンプが強い選手がいたのであまり考えなかった。でも自分のジャンプの調子もよかったのでとにかく集中した。1本目はちょっと力んで踏み切ったあとあまりいい感じではなかったので、距離が出て驚いた。2本目は確実に行った。
※サンパはこの日、大変な思いをして取り寄せた新しいスーツで飛んだはずである。手伝った人は賞金の何割かもらっても罰が当たらないのでは...?

少し時間があれば本を開く物静かなハンヌ(ここでは本を読んでいませんよ)。黙々という形容がぴったりで、スナフキンのようです。
1位:ハンヌ・マンニネン
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マススタートで転倒者も出たが、何か作戦はあったか?
速く走って遠くに飛ぶだけ。スタートダッシュしようと決めていた。グループが大きくなる前に抜け出るのが作戦といえば作戦。接戦だったがサンパに勝ててうれしい。いつも2人でビールを賭けている(上位になった方が奢る)。

-名寄では転んで勝ちを逃した。今日は勝ちたかったのでは?
名寄は名寄で別の試合。一戦一戦集中してくだけ。

-マススタートはジャンプが得意な選手に有利ではないか?
実際、好きではないし、走りが速い選手には不利だろう。マススタートで勝ててジャンプが進歩しているのも確か。うれしいし、自信にもなる。

-今日のジャンプ。とくに2本目、プレッシャーはあったか?
ない。とにかく集中するのみ。トライアルではテイクオフに問題があったが本番はなかった。

-頬がこけたような気がするが、痩せたか?
体重は気にはしている。あと5kgも落ちればもっと飛べるようになるんだろう。軽いほうがいいのは確かだだが、技術とは関係ない。

-イエロービブを付けて試合をした感想は?
違いはない。色は違うけれど...。
ジャンプ班/札幌2:ついに葛西紀明2位。優勝はリュケルソイ。2連勝、札幌では3連勝。5位東輝。少〜し明るい兆しが見えてきた。シュミット連日のシングル。日本に来る前の総合26位から22位へと順位を上げた。無敵だったころをよく知っているので、とても本調子とは言えないけど、またがんばれるといいと思う。Results
ドームの展望台にてAUTチーム。左からクロメチェックヘッドコーチ、ゴットヴァルト、ビーラー、ヴァーグナーコーチ、グルーバー、シュテヒャー、フェルダージャンプコーチ、デニフル、マッサーのダウム。
1月26日 月曜日 ジャンプ班は夜も明けきらない5時に帰国の途についた。お疲れさまでした...。

GERのアシスタントコーチ、ペーター・ローヴァイン。彼に初めて会ったのは、彼がBチームのコーチでホルンシューを連れてCOCに来たときだった。次に会ったとき彼は複合Aチームのジャンプコーチで、今回は純ジャンプのAチーム。「ハニーはどう?」と聞くと「今は確かに調子はよくないけど、またよくなるよ」--その言葉を信じたい。

複合班はトレーニング日であり休息日でもある。
午前のジャンプ練習に参加したのは40人中29人。
その中でダントツだったのは高橋大斗。127.0/126.0/130.0m。タンデ117.0/123.0/127.5m。
アッカーマンは39℃の熱があるとかでお休み。ひどくならなければいいけど...。

午後、クロカン練習。これもスキップするチームあり。ドイツチームは筋トレに行く。

練習後、2007年ノルディック世界選手権の開会式会場でもある札幌ドーム見学(希望者)。ドームはホテルと白旗山の中間地点にあり、いつも横を通って練習に行っていた。
グラウンド移動のVTRを見て、展望台へ行き、ロッカールーム見学後、野球バージョンのグラウンドを見る。ダッグアウトだのブルペンだのと言ってもヨーロッパ人は野球を知らない...。コンサドーレが練習していた。
上の小さな写真でおわかりになるだろうか...。AUTの5選手はと〜っても顔が似ている。顔が売れているフェリックス、マリオは別としても、みんな180cm前後と背格好も似ている。

2002サッカーWC の影響か札幌ドームは有名で、ツアーはとても好評に終わった。サウジ相手に大勝ちし、準優勝を果たしたドイツチームは見学には欠席だったけど...。

1月27日 火曜日 いよいよ最終日。スプリント。名寄から1週間経つ...。今日も天気がいい。
スプリントなのでジャンプは一発勝負。トライアルでは大斗130m、ビーラー128.5m、ラユネン125.5m。アッカーマンは熱が下がらず、今日1試合のためにリスクを犯すよりは大事を取って棄権となった。「本人は出たいと言っているんだけどね」とジャンプコーチのアンディ・バウアー。名寄が終わってドイツチームとは離れたけど、あの上機嫌はどこへやら?

7番スタートのフォンランテン(SUI)が飛んだところでキャンセル。少し飛びすぎた。といってもジュリーディスタンスうんぬんではなくK点を少し越えたくらいなのだが。ちなみに飛び直しでも彼は122mを飛んで8位になっている。

クリストフ・ビーラー。札幌で現役初の3位に2度も。アタッシェ冥利に尽きる。性格がよくてスタッフ間でも人気。
ジャンプが終わって1位は日本に来てずっとジャンプが好調なビーラーで133m。2位カイタイネン131.5m、5秒差。大斗が130mで3位、10秒差。上位でクロスの強いのは9位のサンパ1:08秒差。ハンヌは1:24秒差。7.5kmで追いつくかは微妙なところ。
大倉山の選手控え室でランチを食べて白旗山へ。

スプリントはたったの2周。スタートして、ビーラー、カイタイネン、大斗の先頭グループ。

ビーラー:「出ようと思ったがダイトとヨウニが速かったので後から行った。ハンヌが来たときついていこうと思い、それがうまくいった」

大斗:「ビーラーが出ると思っていた。ついていって最後に抜こうとして失敗した」と守りに入ったことを悔やんでいる。カイタイネンは4位ゴール。Results

それにしてもハンヌは速かった。サイボーグみたい。
ハンヌ:「坂はかなり長いけどそれほど急ではないので走るのはそう難しくはない。このコースは上半身の筋力がある自分に向いている。勝ててもちろんうれしい。総合で2位との差が開いたし」
FINチームは試合後、白旗から直接、千歳へ向かった。

賞金を取りに来たタンデ。
2月4日から行われているジュニア世界選手権でチャンピオン(三冠)になったタンデがこの日の2位。18歳。WCで表彰台に立つ実力があるなら、ジュニアで勝つのは難しくはないのでしょう。実際ダントツだった...。

「ジャンプで5位はいいところ。クロスで自分のレースをしよう、つまりなるべく速く走ろうと思った。白旗は要求の多い、登りがたくさんあるハードなコース。でも全体的なプロフィールはいい。ジャンプでは距離は行ったがベストではない。もっとよくできる」

最終日。大斗くん、近くて遠い3位表彰台。
フィンランドの3連勝で終わった日本シリーズ。フィンランドはコンパクトだけど効率のいい強いチームだった。コーチ、ワックスマン、マッサージャー各1人。選手4人。その4人が4様、個性的で...。財政難の中よくやっていると思う。

夕方、ホテルで荷物出しする選手たち。

ロビーの隅でロニーがコトリと咳をした。表情で「大丈夫?」とうかがってみる。ただ肩をすくめるロニー。シーズン初、そして2連勝して総合優勝をぐっと引き寄せた去年と比べて、今年は日本で何かを得ることはできなかった。でも、まぁ、ゆっくり行こうよ、と思う、キミが名寄で言っていたように、今シーズンは休息の年。休む勇気も必要でしょう。今シーズンはあと7戦、荻原健司と並ぶWC総合3連勝に向けてがんばるもよし...(それもただの結果だけれど)。