Summer Grand Prix 2002
Summer Grand Prix

2001 Hinterzarten2001 Sapporo


》2002 in Courchevel《
寄り道的ジャンプ観戦 サマーグランプリ in クーシュヴェル
「夏の試合の意義は自分が世界のどこにいるかの確認であり、よその国の状況を見ることにある」--確かに4月から11月までの8カ月間、何もないのは長すぎる。真ん中あたりで元気な顔が見たい。ファンにとっても選手の存在の確認なのかもしれない。痩せたとか太ったとか、マテリアル換えたんだ、とか、髪伸びた〜、とか。年々、商業化され、効率化されていくような気がしていたジャンプだが、この夏、フランスのクーシュヴェルで久々にピクニック的観戦を味わった。それはきっと仕事じゃないからもあるんだろうけど。夏は選手のスタイルの良さを思い知るときでもありますね。

ンターツァーテンのGP開幕では、2戦とも雨の中、ご存じのようにAUTのヴィドヘルツルの2連勝。ドイツの両エースは膝の怪我で参戦できないものの、会場には現れ、サインに応じていたらしい。観客は約1万人。2人は飛ばないけれど、会場にはやって来ることは前もってアナウンスされていた。でもキャンセルが相次いだという。世界のトップが集まるという、日本としてはうらやましい状況なのに...。
雨--雨のジャンプというのはいいものではない。冬の雪の方がまだいい。傘もいらないし。
2人のスターの不在を天も悲しんでいる、という表現はあまりに紋切り型だけど。

毎年、ヒンターツァーテンのGPは8月第2週末でフィックスされており、ほぼ日本のお盆の時期とリンクする。この夏、ドイツへ行く計画があったので、できれば観戦したかった。でもお盆休みに入る週末はめちゃ混みで、“なんだ、みんな財布のヒモを締めてるんじゃなかったんだッ”て感じで飛行機が取れない。ましてやマイレージを貯めたタダ券で行こうものなら、3カ月も前に申し込んだのに、いっぱいで。で、結局チケットが取れたのが13日の出発。今回の旅はもともとスイス、フランスを中心に予定していたので、クーシュヴェルを見に行けないだろうかと画策する。
日程的にちょっとがんばって運転しなければいけないが。そして宿も取らないと...。

ーシュヴェルのHPの英語のジャンプの情報は、ずっと「詳細は後日」のまま。仏語バージョンを見ると一応日程が書かれている。でもこれも古いみたい。だってGPの予定に白馬が入ったままだ。それでツーリストインフォにスケジュールをメールで送ってもらい、それと同時にホテルの予約をする。シャンツェの目の前のホテルは当然、満室。さらに2つのホテルに空き室照会のメールを送る。ひょっとしたら選手、役員ら“スキージャンプご一行様”ですべてホテルは占められているのではという不安に駆られる。この街、小さそうだし。そこで、親切なツーリストインフォに助けを請う。リザべーションセンターが宿を取ってくれた。そして忘れたころに1つのホテルから「部屋あるよ〜」という返事が届く。キャンセルでも出たのか。でも遅すぎ! 丁寧にお断りのメールを送る。満室なら満室でいいんだけど、返事をくれないと次に進めないのね。だからこっちも二股、三股かけてるんだけど。クーシュヴェルへの道のりの詳細は旅日記で。

ドイツ、フライブルクを8:30ごろに出てクーシュヴェルのホテルに到着したのは予想通り予選と本番の間の3時前。このホテルには何人か選手も泊まっているようだ。よくわからないけどNED、USA辺りの少人数チーム。窓辺にジャンプスーツがかけられている。シャンツェの前のホテルにはドイツチームのバンが止められていて、一番便利なこのホテルは、やはり有力チームに占められているのでしょう。


試合が行われるのは右側のK120の台。
右上に太陽が輝いているのがおわかりだろうか?斜面の横は報道関係者しか入れない。
テル(クーシュヴェル1850)からシャンツェへ車で向かう。シャンツェは1300ル・プレというところにあり、歩いては行けない(数字は標高を表している)。バスは出ているけど。シャンツェの近くの無料駐車場に止める。観客はもう集まっている、というか、朝から公式練習、予選と行われているはずで、私たちが遅すぎるのだが。
天気はいい。よすぎる。旅に出る前の欧州(というのもあまりに大ざっぱですが)の天気(予報)は、ヒンターツァーテンを見てもわかるように、最高で20℃前後と札幌と同じぐらいだったのに、いっぺんに夏が戻ってきた。太陽が斜面の方向にあるので、ジャンプを見ようとすると顔に日が当たる。確かこれ、5時試合開始のゲームだったよね。ヨーロッパでこの時間はナイターとは言わないか。この明るさと陽射し。暑い。かなり焼けそうだ。
ワイドスクリーンでどこかで見たような映像が流れている。八木さんだ。そう、アサヒスーパードライのCM。ああ、あれ、ここで撮影したのか。
各国国旗を持った子供たちがジャンプ台から下りてくる大会前のアトラクション。日の丸の赤丸はデカ過ぎだったし、星条旗はナント逆さまにくくりつけられていた。フランス人は細かいことは気にしないみたい。
客は家族連れが多い。わざわざジャンプを見に来たというよりは、ヴァカンスに来て、近くでたまたま何かやっていたから見に来た人も多いのかもしれない。ちなみに入場は無料。ジャンプ台の隣でロッククライミングのデモンストレーションをやっていたのだけど、試合中もずっとそっちを見ている人もいたくらい。
ツーリストインフォがくれたスケジュールにある試技の時間には間に合うつもりだったが、始まったのはいきなり1本目だった。どうも試技を飛んだ選手は少なく、30分かからずに終わってしまったらしい。ここは斜面にはお客さんを入れない。下からはスタートも助走も肉眼では見えない。かろうじて踏み切りとフライトは見えるけど、タイミングを判断できるほどはよく見えないし、第一、バーンを見ていると日に焼けてしまう。選手がちょっと遠い。う〜ん、もっとフェンスにくっつくぐらいのところに陣取ればいいのかもしれないけど、そうすると全体はもっと見えなくなる。でもお客さんはみんなわりと「がんばれ〜!!」という感じの、のんびりムード。一部応援団はいるものの、特定選手を強力に応援しているふうではない。
オーロラビジョンには、生放送されているのと同じテレビ画面が映し出されている。
めのうちアナウンスは仏語だけだった。国際ルール上、コレでいいんだっけ? 仏語はIOCの公式言語だからOK? しかもここには電光掲示板がない。あるのはモニター(巨大スクリーン)のみ。
途中から仏・英・独の3カ国語で距離と得点がアナウンスされるようになる。何m飛んだかはわかる。得点も聞き取れる。でも、それでその選手が何位になったのかがよくわからない。仏語のアナウンスが連呼している選手がその時点のトップなのだろうけど。選手たちも同じで、自分の距離、得点、そして順位を知るにはスクリーンを見るしかない。たとえ言葉がわかっても、選手はジャンプに集中しているので、アナウンスは耳に入りにくいというから。
WCの中継でもよく見る光景ではあるが、ジャンプのあと、スキーを脱ぎながら選手はモニターや掲示板を凝視している。電光板ならいいが、モニターから読みとるのはちょっと大変だ。
8番スタートなのに、けっこう長くトップをキープしていました。最終順位は9位。
手が飛んできて、一体、今、誰がトップなのか、今イチよくわからない。ただ、なかなか大ジャンプは出なくて、勝負になるのはまだまだだなぁと思う。飛びそうかどうか、結局は名前で判断しているわけだが、k点越えの印象に残るジャンプをした選手は多くはなかった。90mあたりで落ちて、距離や順位を聞かなくても決勝を逃したとわかる。なぜ?追い風?マリシュも1本目はバランスを崩し113mで着地。もっとも2本目は127.5mで4位に上がったのはさすが。
やっぱり、おーっ!! と盛り上がったのは真打ちが登場してから。大倉のようにリザルツサービスもないので(と思う)、最終結果は帰国してから見たのだが、現場で「飛んだ」と感じたのは宮平選手、コッホ、ホッケ、ジョーンズ、ヴィドヘルツルぐらい。

ヘルメットをカレラからウベックスに換えたアホネンは6位。トレードマークのマスクもしていなかった。夏だけ?
が地元、フランスの選手には声援がものすごかった。ニコラ・デッスムは1本目はあまりよくなかったけど、2本目はK点越えで面目躍如の13位。かつて札幌で16歳で優勝したニコラはそれはそれはかわいかったのだそうだが、とても精悍になりました。そのほかフランス語発音の選手名のアナウンスには笑かしてもらいました。そうHが発音されないアレです。Haradaはアラダ。Hockeもオッケ。イデハル・ミヤイラ・・・単語の間のHはそうでもない、つまりミヤヒラのヒはときどきちゃんとヒに聞こえるのですが。一番おかしかったのはFINのHapponen。アッポネンになるわけです。ますますアホネンと紛らわしく。「ヤンネ・アッポネン」というアナウンス、そして距離を聞いて、「エッ、アホネンもう飛んじゃったの?!」と思ったらハッポネンだったり。だから正しい現地発音を知っていると、思わずコケてしまうようなアナウンスも、日本に限ったことではないのですね。

ジャンプのあと、ファンにサインカードを配るゴルディ。1本目7位、2本目28位、最終16位。
回、新しい飛型点評価が試験的に導入されるというので、その辺を見たかったのだけど、掲示板で確認できないことやなんやかやで、よくわからなかった。あとでリザルツを見たら、飛型点はみんな20点とか19.5点でした。これでいいの?!と思う。でも、そんなことより、とにかく夏だし、家族連れよろしく、ピクニック気分で。
そんなこんなで、アメリカの18歳、クリント・ジョーンズ(122.5+123m)とヴィドヘルツルだけが大ジャンプをした(ように感じた)試合だった。実際、アンディは127.5m、125.0mとダントツ。2本ともK点を越えたのはこの2人だけ。ジョーンズは2本目もしっかり飛んでプレッシャーをかけたけど、猛追も及ばず、まったく動じなかったヴィドヘルツルの余裕の優勝。何かもっと飛べそう。「こんなもんでどう?」って途中で降りてる感じさえする。まるでこの前の冬の札幌の試合のよう。コレで3連勝。真剣勝負なの?と、ときどき思ったくらい。
K点越えのジャンプは全部で8本と1割。調べてみると去年もだいたいこんな感じだ。ジュリーディスタンスは130m。シャンツェレコードは昨シーズン、冬にドイツのリッツァーフェルトがCOCで出した134m。ヴィドヘルツルとジョーンズが飛び抜けていたのは確かだけど、どこかで大ジャンプが当たり前になっている自分がいた。
サインをせがまれ「勘弁して」と通り抜ける原田選手。2本目後はちゃんとサインしてあげてました。 葛西選手、調子は悪くなさそうなんですが・・・。1本目で敗退でした。 スキーはそういう用途にも使えるのか・・・。2本目後、サインに答える船木選手。
て日本チームは半分ぐらい予選落ちしてしまったらしく、姿を見られたのは宮平(9位)、原田(14位)、船木(21位)、葛西(35位)といったところ。宮平クンは随分長く1位をキープしていた。あとから聞いたところによると、渡瀬選手は予選に遅れてしまったとか。公式練習のすぐあとが予選、というか3本目が予選のはずなので、遅れるって考えにくいのですが、どうしたのでしょう? おなかでもこわした?
2本目を終え、アウトランの出口付近にたまり始める選手たち。
アホネンにスポンサーのロゴ入りキャップとボトルを渡すコーチ。
左からコッホ、マリシュ、ホッケ、アホネン。今、飛び終えて、結果を確認しているのはUSAのクリント・ジョーンズ。
スタートにはヴィドヘルツルが残るのみ。
ポ刈りのマッティ・ハウタマキ--H.Z.の写真はモヒカンだった...。2年ぐらい前、NORチームで坊主頭が流行っていた。お寺か、野球部か、軍隊か...。そういえばマッティは兵役中だとは聞いたけど。
ヴィドヘルツルのデコっぱちのヘルメット...なんかヘン...。UVEXの新作かぁ、と思っていると、アホネンまで、フェイスガードもつけてない。--前々からヘルメットと額の関係には興味があったんです(??)。ヘルメットには、そんなにいくつも種類があるわけではないだろうに、同じものでも選手によって見え方が違う。いわばおデコの広さというか、眉から上の高さ、面積の問題だろう。マルティンは昔からヘルメットをアミダにかぶっているように見えた。
UVEXの新ヘルメットは前頭葉の部分が出っ張っているようなデザインで、コレが空気抵抗的にいいのだろうか?!
主にドイツ選手が着ている鉛色のスーツはマイニンガー社の秘策?
根気強くサインに応じるヴェリマッティ・リンドストロームはなんだか新鮮だった。
なぜ?そう、きっと、夏だから。
7時、試合終了後、やっと太陽が沈む気配を見せる。
の夏のヴィドヘルツルの強さは、2000年のアホネンを思い起こさせる。GPはあと4戦残っているけれど、この先も勝つんだろうなぁ。結果はわかってる。きっと彼が総合優勝するんでしょう。地元でアホネンかマッティあたりが一矢を報いるかもしれないけど。

冬、マリシュは「?」 だし、ハナヴァルトもすぐには去年の調子には戻れないでしょう。シモンはGP後半には参戦するらしいけど。

3試合を終え、この冬、ヴィドヘルツルが99-00のようにトップ争いに絡むのは確実に思えるGP前半戦デシタ。

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