◆◇◆NORDIC COMBINED 2004/2005◆◇◆

SKI JUMPING 04/05

◇◆マンニネンとアッカーマンの総合争い◇◆
◆こうして改めて比べてみると、今季は確かに、あと3戦残したラハティでWC総合二連覇を決めたマンニネンの圧勝だった。最終的なアッカーマンとの差は396点差とこんなに開いている。しかし総合2位に甘んじた代償がWM二冠ならアッカーマンにはいいシーズンだったと言えるのではないだろうか。
◇第3戦のトロンハイムが終わって、2人はWC総合では同ポイントで首位に並んだが、勝ち数で優るアッカーマン(2勝)がイエロービブを着る。以降、7戦目、ルーポルディングまではアッカーマンがリード。ショーナッハでジャンプ41位と出遅れたアッカーマンは扁桃腺炎もあって後半クロスカントリーを見送り、ポイントゲットならず。その後は2人とも3位以内だったが、マンニネンがじわじわと差を広げていった。決定的だったのは、アッカーマン本人も「総合はもう絶望的」と言ったリベレッツの1位(ハンヌ)と10位(ロニー)。
◆アッカーマンは自国開催の世界選手権に備えて、五輪のゲネプロとなるプラジェラトを急遽、棄権してその週を調整に当てる。
◇◇世界選手権◇◇
アッカーマン、個人とスプリントの金メダルも見事だったが、団体戦がすごかった。アッカーマンはスキーの選択を誤り、ジャンプが終わってドイツは5位。誰もがメダルを諦めかけた。クロカン大得意のハーゼナイは速いには速かったが、もっと速くてもよかった、あと1分ぐらいは見込めたのだという。ポイントは第2走のヘティッヒで、彼が踏ん張った。3走のキルヒアイゼンはオーバーペースが心配されたが走りきり、2位でスタートした大将でありアンカーでもあるアッカーマンは、ホームストレートで地元の声援を受けて、アドレナリン出まくりだっただろう。持っている以上の力が出たらしい。5位からメダルに届いた、そして最後にフェリックスを抜いて銀メダル。大満足だった。
◇AUT v.s. GER:今回、GERはハーゼナイ、ヘティッヒ、キルヒアイゼン、アッカーマンと前回のシュミットをハーゼナイに代えている。クロカンが強いキルヒアイゼンに対して前回は抜かれながらもビーラーががんばり、3.4秒差でアンカー、ゴットヴァルトにバトンタッチ。ゴットヴァルトはこの差なら勝てるとセーブしながら走れたと思う。それがロングスパートを可能にし、その後、抜かれないだけの力が残っていたのだろう、前回は。今回、GERとは16.2秒差、4位でスタート。ゴットヴァルトのタイムは11:44.8とダントツのトップなのだが...
◇AUTファン、ゴットヴァルトファンの目から見ると:トップNORとの差を詰めようと思えば詰められた。アッカーがフェリックスに「行けよ!」と合図を送る。今、出れば追いつくじゃないか、と。でもフェリックスは答えた。「追いつきたければ自分で行けよ」4位から2位に上がってくることで力を使っていたフェリックスは、引くなんて冗談じゃないと思っただろう。正直、いっぱいでもあったのだろう。

アッカーマンにしてみれば、「フェリックスが先頭交替してくれなかったからNORに追いつけなかった」となるだろう。

◇髪を赤くするのを辞めたアッカーマン。今季はハンヌにやられっぱなしだったが、アッカーマンにとっても、オーバーシュトドルフにとっても、ドイツスキー連盟にとっても、ハッピーエンドだった。
◇マンニネンの不運は個人戦の大ジャンプのキャンセルで始まった。飛び直したら失敗。団体では4位で表彰台に届かず、スプリントでも。今季あんなに強かったのに、WMでだけ勝てなかった。アッカーマンは個人金メダルのあと、ゲンを担いで髭を剃らなかったというが、マンニネンは調子が悪かったわけでもないのに、「ついてなかった」としか言いようがない。
◆◆オリンピックと世界選手権での順位◆◆
Manninen
Ackermann
Birthday
1978.4.17
1977.5.16
1997 Trondheim Individual
6
-
Team
2
-
1996/1997 WC Overall
5
-
1998 Nagano
Individual
11
12
Team
2
6
1997/1998 WC Overall
5
11
1999 Ramsau
Individual
-
24
Sprint
4
9
Team
1
6
1998/1999 WC Overall
2
23
2001 Lahti
Individual
4
16
Sprint
6
3
Team
3
4
2000/2001 WC Overall
11
2
2002 Salt Lake
Individual
14
4
Sprint
7
2
Team
1
2
2001/2002 WC Overall
8
1
2003 Val di Fiemme
Individual
11
1
Sprint
27
3
Team
3
2
2002/2003 WC Overall
4
1
2005 Oberstdorf
Individual
9
1
Sprint
8
1
Team
4
2
2004/2005 WC Overall
1
2
五輪とWMでの順位と、そのシーズンのWC総合順位を比較してみた。

マンニネンは個人では優勝はおろか、メダルも団体でしか取っておらず、今年もまた「大イベントで弱い」というイメージを払拭できなかった。

ところで、アッカーマンの方が1つ年上だって知ってました?!
◇ワールドカップ順位◇
一方、WCで比べてみると、今季もマンニネンは皆勤賞。表彰台を逃したのはトロンハイムのたったの1回。アッカーマンはショーナッハでクロスをスタートしなかったのとプラジェラトを棄権。マンニネンがクロスでトップタイムを出したのは17戦中7回、これに対してアッカーマンの一抜けはジャンプで1回だけ。結局、アッカーマンは年が明けてからは1回(ルーポルディング)しか勝っていない、よかったのはWMだけ、とJ-SPORTSでも言われていたけど...。

ちなみに03/04は優勝回数は同じ。マンニネンに2桁順位はないが
アッカーマンには3回。アッカーマンが総合優勝した02/03は逆にマンニネンの2桁順位が6回、アッカーマンが表彰台を外したは4位、5位、6位が1度ずつの3回で、最低順位は6位。WMで金メダルも取っている。あっ、日本でも勝っている。
04/05
03/04
02/03
Manninen
Ackermann
Manninen
Ackermann
Manninen
Ackermann
1位
10回
4回
7回
7回
2回
4回
2位
5回
5回
3回
1回
2回
6回
3位
1回
4回
4回
1回
1回
2回
その他
1回
2回
4回
8回
10回
3回
棄権
-
2回
-
1回
-
-
WC総合
1位
2位
1位
2位
4位
1位
来季のオリンピックはそろそろマンニネンが勝つかなぁという気もするが、それは誰にもわからない...。
フェリックス・ゴットヴァルト
◆フェリックス・ゴットヴァルト◆
◇WC総合3位のゴットヴァルトと4位のロドウィックも前出のグラフで比べてほしい。
ラハティ前、そしてその後の成績は下の表で。オスロの個人戦で2人の差はわずか1点に。

Lahti1
Lahti2
Oslo1
Oslo2
Overall
Lodwick
564点
8(32点)
594点
12(22点)
618点
21(10点)
628点
6(40点)
4(668点)
Gottwald
549点
12(22点)
571点
13(20点)
591点
7(36点)
627点
4(50点)
3(677点)

最終戦で3位になれたのはよかった。3位と4位のがんばりに違いなんてないと思う。だけど、はたから見ると3位表彰台と次点の4位は随分ちがう。でも満足度はというと...。いつも必死で走った、その甲斐はあった。でもそれはジャンプが今イチだから...。トレーニングや試技ではうまくいくこともあるのに...。ジャンプが終わって「またかぁ...」と溜息をつく。また全力で走らなければならない、と。せめて10番以内なら、もっと楽なのに。それは久々にジャンプ1位で折り返したプラジェラトで証明された。ジャンプが上位なら勝てる。なぜだろう、ハンヌがあまり飛ばなくても「まぁ、こんなもんだろう」と思うのに...

◇個人で金メダルを取っていないのはハンヌだけではなく、フェリックスもだ。ジャンプがとてもうまくいっていて総合優勝したシーズンのラハティWMもその翌年のソルトレイクも個人で金は取っていない。どちらも最有力優勝候補ではあったけど。さて、来年は?プレ大会では勝てたけれど...

◇課題/ゴールスプリント:WMの個人でも団体でもそうだった。いつもゴールスプリントでやられる。どうして? 1)ジャンプを今イチで終え、真ん中ぐらいでスタートする 2)トップ集団まで追いつく 3)アタック 4)ゴールスプリント...。単純に最後まで力が残っていないというのが現状。

◇会心の試合が少ない中でとにかく総合3位というのは十分評価できる、と本人も言っている。久々に勝てたしね。いいんじゃないの...? また、あの表情をして、2、3回ウンウンとうなずくのでしょう。「わかってるよ、言いたいことは...」って。
◇オーストリアチーム◇
◆25日間のWCの休みの間に行われたゼーフェルトの招待試合で、好調だったデニフルが飛びすぎて転倒。ふくらはぎ骨折と足首の腱を切る。ここで彼が戦線離脱していなければAUTのWMチームも変わっていたかもしれない。WM団体では残念ながら世界チャンピオンのタイトルは防衛できなかったけど、ヴィリとマリオを欠いての銅メダルはすごいかも...。逆に言えば、どちらかがいれば銀はかたかったのかも...。ハリケーンスタートの導入で比較的ジャンプが得意な選手が多いAUTは、来季は何か対策を考えなければとクロメチェックコーチは言っている。

◆マリオは今季はクロスであまり順位を落とさなかった。ショーナッハが生涯でベストレースだと言う。WMではウィルス性の胃腸炎でジャンプはいいのに結果が出せなかった。団体戦は自らの辞退はメダルを諦めたようなもの。辛かっただろうなぁ...

◆ビーラーはリベレッツを除いてすべて15位以内と安定していた。総合9位は昨季と同じ。昨季は3位表彰台が札幌で2回あったが、今季は4位が最高だった。悲願の初優勝ならず。引き続きクロカン強化に努める。

◆M.グルーバーはビーラーと同じくジャンプが得意という印象があるが、ビーラーよりも走りは安定している。シーズン当初には初の表彰台もあったし、WMでも6位と5位。終盤は風邪で戦線離脱し、総合では20位だったけれど、いいシーズンと言えるだろう。

◇ドイツ◇
WC-B総合でミュンヒマイヤー1位、ホーリッヒ2位などで来季はWCに11人も送り込む。
アッカーマン以外では、キルヒアイゼン。もともとジャンプが苦手な選手だったが、調子がやや戻ってきた。3連勝した2002年以来、優勝もした。さて、今後のドイツを担っていけるのか...? 若いのにあまり覇気のないコで、ほとんど話したことがないので、どういうコなのかまるでわからない...
昨季は表彰台もあったのに、今季はジャンプがまったく振るわなかったハーゼナイ...。去年のジャンプが良すぎで、むしろ元に戻ったと言う人もいたりする...。「なぜでしょう?」と解説で荻原次晴さんも不思議がっていたけれど、聞くところによるとスキーが合わないのだとか。Germinaのスキーを使っているのだけど、シーズン前に新しいモデルにしたら、まったく合わなくて、それ以来、調子が狂ってしまったらしい。Germina、ドイツのメーカーでほかにはヘティッヒ、ガイザー、純ジャンプのノイマイヤーなどが使っているが、マンニネンもなぜかこれを使っている。どうしてかは聞きそびれたが...
◆高橋大斗は札幌の2位が最高。プラジェラトで腰を痛めWMで力を発揮できなかったのは残念。スプリントのメダル候補にも挙げられていたのに。今季、前半ジャンプでトップだったのは3回。同じようにジャンプが得意なビーラーやシュテヒャーよりも総合で上なのだからすごい。

2004/2005 WORLD CUP STANDING
G=Gundersen, S=Sprint, M=Mass start, T=Team
J=Ski Jumping, C=Cross Country

P
Manninen
Ackermann
Gottwald
Takahashi
Bieler
Stecher
Kitamura
1 Kuusamo
11/27
G
J
14
2
33
1
4
14
23
C
1
15
3
38
22
17
30
2
1
13
4
8
9
24
11/28
S
J
9
20
25
4
2
16
10
C
2
5
4
31
39
12
23
1
3
4
8
6
17
14
Trondheim
12/4
G
J
18
1
20
10
1
14
25
C
2
12
1
18
22
17
20
2
1
3
13
4
9
18
12/5
S
J
25
3
30
7
4
16
38
C
3
12
1
19
26
12
36
10
1
12
6
7
17
41
Val diFiemme
12/11
M
cancelled
2 Oberhof
12/30
G
J
21
3
20
1
2
9
19
C
1
16
2
32
20
12
15
1
2
3
13
9
4
18
Ruhpolding
1/2
S
J
23
4
18
13
6
27
8
C
2
8
3
39
31
27
16
2
1
5
35
9
30
6
Schonach
1/6
G
J
8
41
20
2
3
6
41
C
2
DNS
1
18
28
6
DNS
1
-
6
3
10
2
-
Seefeld
1/8
S
J
3
6
24
1
2
7
30
C
19
8
6
32
25
11
38
1
2
12
18
11
5
36
1/9
G
J
10
3
7
4
1
11
4
C
1
14
4
35
34
26
35
1
3
2
25
8
21
25
Liberec
1/22
G
cancelled
1/23
S
J
6
24
14
16
33
29
41
C
1
7
2
31
32
19
LPD
1
11
4
27
31
24
Sapporo
1/29
M
C
1
6
DNS
13
DNS
DNS
12
J
9
2
2
22
1
2
4
16
1/30
G
J
7
13
DNS
2
DNS
DNS
22
C
2
5
20
12
1
10
2
18
Pragelato
2/12
S
J
7
DNS
1
DNS
4
5
26
C
2
12
28
20
16
2
1
15
8
25
WM

in

Oberstdorf

G
J
30
10
19
DNS
3
14
DQ
C
4
7
3
23
31
-
9
1
3
11
25
-
S
J
26
2
21
4
3
10
42
C
3
4
6
22
29
24
19
8
1
11
10
14
17
28
3 Lahti
3/4
S
J
10
9
22
4
3
4
27
C
1
4
7
21
14
13
19
1
3
12
9
5
7
27
3/5
G
J
24
9
27
18
5
3
18
C
1
4
6
33
24
36
33
3
2
13
31
10
24
31
Oslo
3/12
G
J
19
9
22
1
10
5
28
C
1
4
7
20
18
DNS
32
2
3
12
4
11
-
33
3/13
S
J
11
9
27
2
1
3
30
C
2
4
6
32
24
25
13
1
2
13
14
5
9
26
Overall
Sprint
1
2
4
13
7
9
25
WC
1
2
3
8
9
10
26
Manninen
Ackermann
Gottwald
Takahashi
Bieler
Stecher
Kitamura