2009/2010 NORDIC COMBINED
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勝利で始まり、勝利で締めくくる。オスロではWC総合はもう決まっていたのにきちんと勝ちに行った。WC19戦中6勝。オリンピック個人NH金メダル。今季はフランスの若き王子、ジェーソン・ラミィシャプイのシーズンだった。
08/09シーズン、試合方式は、どう考えてもクロカン型の選手に有利になるであろう、前半ジャンプ1本/後半クロスカントリー10kmに変更、統一された。にもかかわらず、ジャンプ型のコイヴランタが総合優勝。ジャンプが1本になってリードが減っても、LHの距離点が1.2点/mから1.5点/mに変わったこともあって、そのリードを10km保つだけのクロカンの力があれば、ジャンプ型の選手にも不利ではないということがわかったが、今季のラミィシャプイも然り。ジャンプ型の選手はかつてスプリントなら勝てるという選手が多く、ラミィシャプイはスプリントで総合優勝した06/07、「スプリントはボクの競技」とさえ言っていた。1本/10kmというのは2本/15kmの個人グンダーセンが1本少なく、5km短くなったのではなく、1本/7.5kmのスプリントが2.5km長くなったと考えるのが妥当で、あと2.5km逃げられれば勝てるということなのだ。加えて、今季はクロカン型の選手のジャンプが、例えばデモンは五輪を除いてはあまりよくなかったし、モアンはどうしょもないくらい悪かった。もし彼らのジャンプの調子がよければ、楽勝、連勝になる。後半、全力で走らなくても勝てて、体力温存で連勝しやすくなるからだ。ジェイソンの6勝は圧倒的なのだが、その他はばらけた。モアンとマンニネンが3勝ずつ。あとは7人が1勝ずつ。
前半終了後の注目はタイム差1分。上位にいるジャンプ型選手は後続のクロカンの強い選手たちと1分以上差があれば逃げ切れるし、クロカン型選手は1分差なら追いつける。 |
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今季、コンバインドではウインドファクターとゲートファクターがWC全戦で採用された。よかったんじゃないかと思うのは、採用が見送られた五輪のLH個人が進行を急ぐあまりに不公平だったから。条件を公平にする以上に、風が出てきたからとか、大ジャンプが出たとかいうときに、ラウンドをキャンセルしなくてもゲートを変えて続行できるというのが、時短命のFISにとって試合を放送時間内に収めるのに有効というでだけでなく、飛ばせすぎ防止にもなり、さらなる公平さ、安全性に繋がっているように思う。そしてたまたまいい風をもらって上位に出るということがほぼなくなったというのが、クロカン型選手の成績に影響しているのかもしれない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
復帰したゴットヴァルト。開幕当初はまだわだかまりがあった。どんなシーズンになるのか。どれだけWCに参戦するのか。ポイント参戦で五輪狙いだったらがっかりだし、復帰しなければよかったのに、と思いたくない...。今、わたしはあなたを誇りに思う。好きな選手、強い選手はいっぱいいるけど、こんな風に思えるのはあなただけだ。ゴットヴァルトの勝利数は総合3位のモアンに劣るのに順位が上なのは、2位に5回なっているからだ。それが132点という点差に現れている。昔、マルティン・シュミットが「誰が2位だったかなんて誰も覚えてやしないよ」と言っていた。そう、こうして総括を書こうと自分のHPを見ると、総合ランキングのところには勝者しか書いていない。2位とか、表彰台というのは、その試合の結果を見ないとわからなくて、試合の展開もそれでやっと思い出す。その、少ししたら忘れられてしまうような2位をきちんと取りに行く(というか1位を狙ってその結果2位なのだけど)。その積み重ねでの総合2位というのは、なかなかできるものではない。 オーストリアはWCで国別も獲り、COCの個人総合で1位と2位。第4ピリオドはドルムルが6戦中5勝している。ドルムルがWCの即戦力がどうかはわからない。レベルが低いほど上位と下位の差は大きく、独走は起こりやすい。かつてWCがAとB(現在のCOCに相当する)に分かれていたころ、WRLを作るのにBはWCポイントを2倍、Aは10倍していたが、WCクラスとCOCクラスの間にはそのくらいの差はあるのかもしれない。純ジャンのシュリーレンツァウアーのように、飛び級というのもあるにはあるんだろうけど、上がって来るにはたいがい1年や2年、ひょっとするともっとかかる。まぁ、国別の1位は、単にゴットヴァルトの得点が上乗せされただけとも言えるが...あと、B.グルーバー!! 銅メダル、よかったね。次はWC3勝目、挙げられそう。 |
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ドイツは、これまで勝てそうで勝てなかったエーデルマンがWC初優勝。ゼーフェルトの転倒が影響しているのか、五輪では今イチだったが。キルヒアイゼン(26歳)、エーデルマン(25歳)、フレンツェル(21歳)、リドツェク(18歳)と、アッカーマン(33歳)の不振も手伝って、皮肉にもうまい具合に若手に移行できている。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
マンニネンはまたも五輪金メダルを逃し、現役続行を発表した。その一方で、コイヴランタは「選手生活はもういい」というようなことを言ったまま、その後、進退は明らかにされていない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アメリカはバンクーバで金メダル1つ(デモン)、銀メダル2つ(スピレーン)を獲って、やっと今までのすべてがpayされたと言っている。すべて--資金面、精神面、犠牲にしてきたもの、そのすべてが。今後もヨーロッパ勢とは別の怖さを発揮していくことだろう。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最後に日本チーム。誰もが期待していた五輪が少し残念な結果に終わって、選手自身も改めて言い始めた、WCでちゃんと戦わないと、実績をあげないと、と。ゼーフェルトの試合を見て、充分、戦える感じはした。うまくいけば、要するに、前半失敗しなければ、銅メダルはなくはないと。絶対にかなわない、図抜けて強いチームはなく、表彰台は不可能ではない。大斗クンが1人でWCに参戦し、団体戦ではチームが組めず、という時期を経て、出場枠を獲る→ポイントを獲る→TOP10→表彰台→優勝。着実にあがっていけばいい。とくに渡部暁斗くんに期待している。 |