FIS CONTINENTAL CUP SKI JUMPING 2005 SAPPORO

REPORT

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コンチネンタルカップのルールが変わって2季目。地理的条件から、欧州の大会のようなわけにはいかないが、ルール変更前に比べてたくさんの外国人選手が来札するようになった。
AUT 7人、CAN 3人、CZE 2人、FIN 3人、GER 4人、KOR 1人、NOR 3人、POL 4人、RUS 3人、USA 4人の合計34人。これに日本の7人+1A10人を加えた51人が札幌のコンチ3連戦に臨む(金曜日は1Aグループは投入されない)。昨年同様、コンチと同時に金曜日は札幌オリンピック記念、土曜日はHTB杯、日曜日はSTV杯が行われ、オリンピック記念には52人、HTB杯に39人、STV杯には46人が出場する。コンチ組は1本目の上位30人が、それ以外は上位20人が2本目に進む。またコンチ組はコンチで残れなくても、その他で20位以内に入っていればコンチのポイントは取れないが、五輪/TV局杯として2本目に進める。ちょっと複雑...。

昨年は翌週がWCというスケジュールだったので、日本のWC組が参戦。葛西選手の独壇場だった。WC組にはコンチの出場資格がないので、コンチの入賞者とTV局杯の入賞者はちがった。ところが今年はTV局組の中でコンチ組を上回る選手は残念ながらいなかった。

札幌の前のプラニッツァ(SLO)のコンチで2連勝しているバーダル(NOR)が最有力優勝候補。選手層の厚いAUT、FIN、そして国内大会で優勝している重松選手、期待の中学生、栃本翔平クンなどが注目選手といったところだろうか...。

各国選手の顔ぶれ》
AUT:
ハーフェレ、トゥルンビヒラー、シュナイダー、ナギラー兄弟、トゥーシュニク、ランメルシュトルファー。
コーチとしてインタビューに答えてくれたのはファルコ・クリスマイヤー。選手として記憶にある方もたくさんいることだろう。2000年からチロルスキー連盟のコーチ。02〜04年はガルミッシュ(GER)でコーチとして働き、04年からAUTのトレーニンググループ2のコーチ。79年3月生まれの24歳。大倉の印象など聞くと「とてもいい。だってバッケン持ってたんだよ!!」97年の宮様大会。17歳のファルコはノーマル、ラージとも少年組優勝。このときの大倉山でバッケンレコードを飛んだのだそうだ。もちろんもう破られている。本当にジャンパーだったの?!と疑いたくなるような風貌のコーチも多い中、ファルコは見かけもまだまだ選手みたい。でも私には彼がしっかりコーチしているように見える。
いつもご機嫌、シュナイダーくん。
今回来札した中ではシュナイダー、トゥルンビヒラー、ハーフェレの3人が比較的調子がいい。
02年、宮様で来札、大倉山でその日の最長不倒を飛んでジュニアで優勝し(総合2位)、引き続き蔵王で行われたコンチで優勝しているシュナイダーは、今季、ロヴァニエミでCOC開幕2連勝。「AUTは選手層が厚いから、とにかくいいジャンプをしてWCで飛びたい」いつもニコニコしている。「いっつもご機嫌だね」と言うと、「だってべつに腹立つこともないし、悪くする理由がないもん...」土曜日2位。「きょうは天気も条件もよくてよかった。2位は嬉しい。日曜日もきょうのような条件なら、優勝に絡めるかも」その日曜日は1本目、風の運もなくて不発。2本目はそれでもK点を越え、10位はAUTで最高。う〜ん、伸びるかもしれん、このコ...
ハーフェレは今季、ラハティのCOCで勝っている。AUTの若手が次々に台頭した02/03、WCに参戦。エンゲルベルクで2位になっている。
クリスティアンとミヒャエルのナギラー兄弟は年子。顔はシュミット兄弟やハウタマキ兄弟ほど似ていない、と思う。でも背の高さが同じで、歩き方など、後ろ姿はうり二つだけど。02/03、白馬で優勝、札幌で2位になっているナギラー兄(クリスティアン)。今季は低迷しているが、札幌で明るい兆しが見えたか?!
少しは成長してくださいね、シュテファン...。後ろの青いTシャツはハーフェレ。
宮様つながりでシュテファン・トゥルンビヒラー。アレはもう5年前のこと。14歳のフェットナーと来札。小さくてかわいくてすばらしく飛ぶおチビさん(フェッティ)ばかりが注目された。大会期間中に16歳になったシュテファンは、3月の不安定な天候もあって思うようなジャンプができない。悔しくて涙が出るほど...。あのとき身長はどのくらいだった? 170ぐらいだったかな...今はなんと183cm。ホントに大きくなった。でも、性格は変わってなかった。ときどきやる気が空回りする。やる気がありすぎて力む。札幌に来て初めて会心のジャンプだった最終日のトライアル。「これは行けるかも」と思ったのでしょう。行きたかったのでしょう。1本目、彼の前で風が変わった。彼の前の2人の日本人はいい風のまま出してもらえたのに自分は待たされた。「ずるいよ〜!!」と涙ながらに訴える。わかるよ、わかる。でも、それってあんまりカッコよくないよね。ジャンプはアウトドアスポーツ。そんなこともあるさ、とあのアホネンも言っているじゃない。母はキミの将来が少し心配です...
GER:アルベラー、ブルーダー、フロイント、ジーモンの4選手を連れてきたのはハンス-パウル・ヘル コーチ。ヘル? そう、日本でも人気のあるアレキサンダー・ヘル選手のお父様だ。目がそっくり...!! アレックスってこうなるのね...。
今回、若手中心の布陣となったのは、札幌WCに2軍を送ることを決めているからか、何年間かコンチを回っていて少しは名の知ているピーパー、ブラハト、バーダーといった選手は成績が伸び悩んでいる。ジーモン、ブルダーはコンチポイントでこれらの選手よりも上。ジーモンはまだ1回しか出ていないのにだ。コンチではアンドレアス・ヴァンクが一番いいがプラニツァに出たので体力を考えて日本には連れて来なかったとのこと。15歳のアルベラーは今回がコンチ初参戦。ブルーダーは札幌で3戦ともポイントを取り、もっとも安定していた。外見はあまりスポーツ選手らしくなく、とても落ち着いて見えるがまだ22歳だ。
その後、聞こえてくるニュースでは、バーダー選手は連盟の支援を打ち切られるという。コンチで、23歳、成績が出ていない→将来性がないということらしい。
15日の試合後、髪をブロンドに染めたユッシ。個人的にはナチュラルな方が好きです。
FIN:中尾彬ばりの渋い声のユッシ・ハウタマキは今シーズン、開幕から6戦目のハラコフまではWCに出ていた。第2戦クーサモ(21位)以外はポイントを取れずWC離脱。そして札幌の前の11戦目、プラニッツァからコンチ参戦、10位と20位で総合37位で来札。01年WC札幌、3位表彰台。02年にはオリンピックのチケット争奪戦から降り、札幌に。今季も低迷という印象が強く、FINの優勝はないと誰もに思われていた。ところが練習からK点越え連発。でもここまでいいとは...。2位、4位、2位!! 日曜日、2本目。2連勝している一戸選手がバーダルに抜かれ、あとはユッシとキンモの2人が残るのみ。さてどちらが勝つか? それともバーダルが勝つのか...ユッシがしっかり飛べればここ(コンチ)にはいないかも?! でもキンモも力むかも... ユッシはしっかり126mを飛んでキンモを待つ。キンモ、落ちなかった。0.1点差で優勝はチームの後輩キンモに。ユッシ:「踏み切りで少し遅れた。それが0.1点差になった。仕方ない」その淡泊さが...
札幌の次のビショッフスホーフェンでも4位2回。今季のFINはアホネンが強すぎてマッティもいいのに目立たない。でもそれ以外の選手は予選を通過できたりできなかったり、2本目に進めたり進めなかったり...やっとユッシライネンが上がってきた。
だからユッシもWC、近い、かも...

ラウリ・ハコラ:ユッシと同じ25歳。典型的なフィンランド人のような気がする。地味だけどいいジャンプをしている。

道によると、ユッシのこれまでのがんばりに触発されていたキンモは15日(土)、ユッシが髪を金色に染めると、それにあやかろうと自分も金髪に。願い叶って初優勝となった。宮様、WC、コンチと札幌へはもう何度も来ている。「大倉は好きな台。2007年の世界選手権でも飛びたい」なんて頼もしい言葉なんでしょう...。フィンランド人離れしたその明るさ...彼の出身地の人はフィンランドの中でもわりとひょうきん者が多いらしい...


ノリノリで歌ってるのに写真に撮るとなぜか真剣モード...バーダル(左)とアーラス(右)。
NOR:プラニッツァで2連勝して札幌に乗り込んできた最有力優勝候補のバーダル。1人勝ちかと思いきや1勝もできなかった。とくにノーマルヒルが得意とのことで、宮の森の試技ではダントツのトップ。ところが本番ではまったくふるわず、本人もコーチも風のせいだとものすごい剣幕だった。ラージは2試合とも3位。いい条件で飛べてよかったとコメント...。
ドネムは去年もコンチに来ていて、優勝もしているが、今季はよくない。
ドネムくんはいつも荷物が多く、のんびりしていて、す〜っとしていて、「あたしきれい?」なモデルさんみたいだ...NORは3人とも背が高い。アーラスが183cm、残りの2人が186cm。調子がよければWCでも札幌に来るって...

まさにヨン様スマイル。
KOR:韓国はインスブルックのユニバーシアードに選手を送り込んでいて、チェ ヨンジク1人の参戦となった。入賞こそしないが、安定してポイント圏内では飛んでいる。
韓流ブームの影響か、おっかけもいたりする、らしい。チェヨンジク...正真正銘、ヨン様だ...でも、本人は「どっちかっていうと、サッカーのアンジョンファン似、なんだけど...」髪をあげておでこを出すと、似てるかも...。確かに日本人にないピュアさのようなものがあるのかもしれない。

今回のイチオシ、かも...アントニン・ハイェック、17歳。
CZE:今シーズン、ヤンダが好調なチェコ。コーチはジロウテク。「マゾホ、ハイェック、2人ともいい選手だよ。WCにも出せる。でもバシャ(ヘッドコーチ)の"コンチで経験を積ませる"という方針に従ってる。4、5年したらWCで優勝争いしているだろう」その言葉通りハイェックは連日入賞。すごいのはとくに長身というわけでもないのに(177cm)助走速度が速く、いつも1、2位。現在コンチ総合9位まで上がってきている。
マゾホはスーツを忘れてきたそうで、シュナイダーのを借りていたようだ。それに体重にちょっと問題がある。700gほど重いのだ。
180cmの理想体重は靴とスーツを入れて66kg。この500gほどの体重が勝敗を分けるのだと。アホネンは理想的な体重。このピンポイントの理想体重にしなければWCでトップ15には入れないという。重いぶんには板を切らなければならなかったり、失格になったりはしないのだが。

体重の話:今回は土・日の両日ともマテリアルチェック、要するにスーツ計測と体重測定に伴うスキーチェックがあった。身長と体重に即した長さの板を履いていないと失格になる。チェコのジロウテクコーチも言っているように、この規定ができて、距離を伸ばすことができる体重はピンポイントになった。当然のことながら「とにかく痩せればいい」よりずっと難しい。

確かに成長期の選手の健康にはよくなっただろう。16歳ぐらいまでは小さくて、軽くて、ラージヒルでもフライングのように、跳ぶのではなく飛んでいるかのよう。それで何勝かする。それから成長が始まり、背が伸びるとともに体重も増え出すのだが、遠くへ飛ぶために軽い体重を保ちたいので、成長期に減量するということが起こっていた。体重は背が小さいときのままキープしようとする。成績のために減量を強要されたという噂もあれば、摂食障害になった選手もいる。ただ体質的にもともと痩せている選手には辛い。数年前、大型選手にはチャンスがなかったように...。痩せなくてもよくなったのはいいことだけれど、でも、実は、痩せすぎも太りすぎもダメになったのだ。

土曜日、残念ながら西森選手が失格になった。体重が100g足りなかったそうだ。家で計ったときは規定以上だったと本人は言う。ハーフェレ(AUT)はスーツの腕が太すぎ、ウエルチ(USA)は足が太すぎて、ともに失格になった。
「あの選手はあんなに痩せているのに大丈夫なの? 西森くんより痩せて見えるけど...」
という声があった。それは痩せていてもいいわけではなく、その体重に見合った長さ(短め)の板を履いているだけ。それでも距離が出せれば、生き残る...

おまけ:札幌の大会は楽しいらしい...



十八番のLike a virginを歌うキンモとトミー

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兵どもが夢のあと...また来年...



We are the champions...団体戦で優勝し、この歌で送られるのが夢、というのはわかるなぁ...
天を突くのはとってもハンサムなウェルチくん(USA)