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2004 北海道国際ユースサッカー大会 U-16
2004 HOKKAIDO INTERNATIONAL YOUTH SOCCER TOURNAMENT
19th -22nd Aug.

- 16歳の奮戦記 Sommer Grand Prix に代えて-

TSV 1860 Muenchen アンダー16代表。イチハチロクゼロミュンヒェン、通称60(ゼヒツィッヒ)。なぜかイチハチロクマルと言うと怒られる。
(C) All photos by Kiyomi Yagita
8月19日から22日、『北海道国際ユースサッカー大会』(16歳以下)が、ドイツ、韓国、ブラジル、日本の4ヵ国6チームの参加で札幌で開催された。優勝は日本代表。唯一、ナショナルチームとしての参加だから当然?

私はサッカーフリークではない。おもしろいとは思う。でもなぜか熱狂したことはない。それがこの1週間で変わったかというと大きくは変わっていない。しかしこの大会後しばらくは彼らが残してくれたものが心から離れなかった。まるで冬の"彼ら"のように。

サッカー選手に対するイメージは...? 初めてジャンプの大会を手伝ったとき、世界のトップジャンパーたちは高飛車でもなく、意外に気さくで驚いた。ジャンパーは、自由気ままなボーダーに比べたら体育会系だし、コンバインドはさらにまとまっている。そんな経験からしても、今回のサッカー選手たちのお行儀の良さは、このクラブの伝統なのか、ドイツサッカーの特徴なのか、目を見張るものがあった。。

この統率...。ジャンプとの最大の違いはサッカーはチームスポーツだということ。コーチの言うことに私語一つ無く耳を傾ける。遅刻者皆無。礼儀正しく、常に感謝の気持ちを示す。そして笑顔を絶やさず日本滞在を楽しんでいる。親善試合ではあるけれど、もちろん勝ちに来ている。遊び半分、物見遊山ではない。遊び盛りであろう16歳の男の子たちに「静かに」とか「それはダメ」とか一度も言う必要がなかったというのは、すごいことだ。

不思議なことにジャンプも複合もそしてスノボーも、成績のいい選手の方が往々にしてきちんとしている。今回来日した選手のうち何人かはプロになるだろう。十代をこんなふうに過ごしていれば、プロになってもおごることもそうはないのだろうし、プロになってもならなくても、サッカー選手としてだけでなく、1人の男性としてきっとステキに成長してくれることだろう。

到着後、早速ミーティング。
到着日。きょうは2:00a.m.まで起きているようにとの指令。眠気を最大限まで引っ張って寝てしまおうという作戦か。

移動はおそろいのチームブレザーで。このころからチームの看板を背負っている。プロだけじゃない。
移動(ブレザー)、試合(ユニフォーム)、練習、観光、パーティ等(ジャージ)と団体行動中は必ずチームウェア。夕食後の唯一の自由時間に私服で出かける。


夏の白旗山。初めて来た。
2日目午前。まずは軽く時差ボケ解消を兼ねたトレーニング。ここ、見覚えおありでしょうか?! そう、白旗山です、クロスカントリーコースのある。彼らが立っているのが、ちょうどクロカンのゴールあたり...。ここ白旗山は札幌では数少ない天然芝のグラウンドなのだそうだ。冬にはこの緑が信じられないし、夏はあの雪が嘘みたい...。

子供が子供をコーチ。
午後は、サッカークリニック。
ゴミ集めや省エネなど環境保護に取り組んだサッカー少年団が、その特典として、環境先進国、ドイツのお兄さんたちにサッカーを教えてもらう権利を獲得。
子供たちは「すご〜い!、うま〜い!、カッコイ〜!」を連発。最後は5ないし4:11でさらにハンディ(足かせ)をつけてミニゲーム。全チーム、ちびっこの勝利に終わった。

日頃、愛国心などなくても、試合前、国歌を聞くと胸が高鳴って、鼓動を確かめたくなる。
3日目。いよいよ試合。初戦の相手は日本代表。強そう。それもそのはずで、大会前には帯広で合宿を組み、来月のユースのアジア予選の前哨戦の1つとしてこの大会に臨んでいるというのだ。

前半、日本代表は様子を見ているようだった。強い相手向けシフトというのだろうか。ドイツ側はなかなか突破口が開けず。そして後半アクシデントが起きた。アーミン・キニガードナーが相手キーパーと空中でぶつかり、担架で医務室に。直後は軽い脳震盪で「ここはどこ?」と...。口の中が血だらけ...背筋が凍った。とにかく頭を打っているので心配。救急車で病院に運ばれる。

アーミンは検査の結果、歯が1本抜けてしまったのと擦過傷だけで、骨折もなく、脳にも異常はなかった。口の中を切って縫ったけれど、最初に思ったよりは軽傷でほっと胸をなで下ろす。

試合はその後も互角、というか、どちらも決め手を欠き、0:0のまま終わった。ドイツU16代表にもイタリア代表にも勝っているというこのチームに引き分けたことは評価できる、とコーチは言っている。

左から、1860ミュンヒェン、韓国・ソウル特別市、ブラジル・パウリスタ、コンサドーレ札幌、日本代表、北海道選抜、6チームのキャプテンたち。ウェルカムパーティで健闘を誓い合う。

16歳にしてアジア人はがっちり(韓国と日本代表を見て!)、ドイツは背は高いが細くて、ブラジルは小粒。

4日目午前中。どしゃ降りの雨の中、白旗山で練習。試合が雨天決行なのは知っていたけれど、練習もやるんですね...。当たり前か...。

何年か前の複合WCでみぞれが降り、びしょびしょになったことはあったけど...。
見覚えある掲示板が後ろに見えている。

風邪、ひかないでね。


午後は市内観光。まずは北海道のおみやげ『白い恋人』でお馴染み、石屋製菓のチョコレートファクトリー訪問。チョコレートの製作過程と、社長のおもちゃコレクションなどが見学できる。隣にはコンサドーレの練習場がある。ちなみに社長のご厚意で入場無料に。感謝。

そして、本日のメインイベント、2002WMでドイツが初戦サウジアラビアを相手に8:0で快勝した、あの札幌ドームツアー。
まずはVIPルームにて、札幌市とドームの紹介ビデオに見入る。

ロッカールームでは「ここに○○が座ったのかな?!」と言いながら大はしゃぎ。

日本ハム戦の野球バージョンから、明日のユース大会のためにサッカーバージョンに替えられたばかりのピッチに下りる。スゲー! スゲー! の連発。

オーロラビジョンに映る自分たちに「お〜!!映ってるよ!!」と興奮。「どうやって写真撮ろう?」と悩む...。ビジョンに映っている自分を撮ろうとすると、ビジョンには後頭部しか映らない...。

夕食はジンギスカン。食べ放題でも、さすが未来のプロ選手...むやみに食べない。でもデザートは食べる、ドイツ人(ヨーロッパ人)ですから。

今大会で3得点を上げたウリ(左)と190cmのキーパー、フィリップ。ウリは「こんにちは、おはよう、こんばんは、ありがとう」と日本語で愛想を振りまくのが得意。でも朝「こんばんは」と言ってたりする...。そのつど直していたら、帰国の日には覚えたようだった...。


きょうはセカンドジャージ(って言う?)。けっこう好き。
5日目。北海道選抜戦。実は彼らはこの日の試合がドームで行われることを知らされていなかった。前日のツアーでも驚かせたいからと口止めされた。バスがドームに近づくにつれ、ざわめく選手たち。決勝に進まないとドームではできないと聞かされている。敷地内に入り、地下の駐車場へと進んでいくバス。「どこ行くの?!」「ど〜して?!」と口々に。ガードマンに『1860ミュンヒェン』と自分たちのプレート(のちに持ち帰る)が掲げられているロッカールームに案内され、「ウッソ〜!!」「ビックリ!!」

KOREA-JAPANのときのFIFA公式アンセムが流れ、入場する。国歌が流れ、選手たちはいっちょ前に胸に手を当てる。鳥肌の立つ瞬間だ。


クールダウンのあと、ベンチ前に体育座りでミーティング。
前日、日本代表が北海道選抜を5:0で破っているので、ドイツがグループ1位で決勝に進むには6点以上取らなければならなかった(勝ち点が同点の場合、得点の多い方が勝ち)。これが選手たちの足を鈍らせていたのかもとコーチは言う。ふつう3日目ともなれば時差ボケも癒えるというのだが、明らかに動きが悪い。ドームでできる驚き、興奮が逆効果だったか...。

とにかく怪我だけはしないでと思う。選手がヘッディングに飛ぶたびにヒヤヒヤ。また勝てないのかとハラハラ。なんだかスッキリしない、こんなはずじゃない試合だった。1:0。勝ったのに負けたかのような落胆ぶりだった。


6日目。3位決定戦はコンサドーレ。初戦で韓国を敗っているので侮れない。が、点を取り始めるとリラックスして動けるようになったか。結局4:1で勝ち、3位を決めた。きのうこれくらい動けていたらねぇ..。

試合後、ピッチに寝ころぶ選手たち。そう、もう一生、二度とこのピッチに立つことはないかもしれないのだ。WCの舞台に立つのはサッカー少年の夢なのだろう。


決勝戦のすぐあと、表彰式。
優勝:日本代表、2位:ブラジル、3位:ドイツ。

ところで決勝戦前のブラジルの気合いのダンスはおもしろかった。入場前に何やら歌いながら踊るブラジルチーム。曲調はサンバと言うよりもゴスペルみたい。「何事?」とドイツチームもロッカールームから出てきた。

「2列、2列」と言いながら並ぶ。3チームのうち、一番ちゃんと並んでたの、ドイツでした。さすが!?

1860ミュンヒェンは毎年来ているけど、去年のチームは残念ながら3位決定戦で負けてしまった(同じクラブだけど毎年メンバーは入れ替わる)。勝ててよかった。


3位の賞状とトロフィーをもらう。
誰がこのトロフィーを持って帰るかで、くじ引きをしたそうだ。引き当てたのは去年も来たアレックス、らしい。

こんなことでもなければ一生訪れることもないであろう極東の地、日本は楽しかった?
私たち(大人)はすっごく楽しかったデス!!


今回のイチオシ!! sweet sixteen...
「ユリくん、キレイ」を連発してた私...もうキラキラしてる...。
キャプテンのユリアン・ラタイは2度目の来札。なんでもバイロイトから今のミュンヒェンに移るとき、ブンデスリーガ全チームからオファーがあったというほどの逸材なんだそうだ。この年齢からトレードとか、いろいろある。チームでは唯一、U16ドイツ代表に選ばれている。もうすっごくウマいらしい。
礼儀正しく、謙虚で、やさしい。チーム代表でスピーチもしたが、頭も悪くない。それにこのルックス...プロになったら人気出るぞ〜!!